海外に住むと決めたのは、「生まれた土地だけに固執することなく、時代に合わせてどこでも生きていける様になる」、その力を身につける為です。それは僕たち日本人が一番苦手なこと。まさに僕らは農耕民族ですから。
つまり、僕は特に香港が好きで来たわけでありません。たまたま海外生活を送る場所としていろいろな条件が合っただけで、香港には全くこだわっていませんでした。香港は個性的な土地なので、「香港が大好き」で働きに来たり(以前は特に多かった様です)、旅行を重ねたりする人が多い様で、そういう人たちの考え方とはかなりギャップがあった様に思えます。ところが地元の友達の温かいサポートのお陰もあり、今では香港での生活にはすっかり慣れ、日本でほんの少ししていた北京語の勉強も少しお休みし、広東語を勉強しています。僕もすっかり「香港が大好き」な人間の一人になりました。
「香港は日本人にとって最も暮らし易い地域の一つ」。この様に言われることが良くあります。最初は、日本とのあまりの景色の違い(一番は清潔感でしょうか)に、その言葉もピンときませんでしたが、今ではその言葉の意味が実感できます。そもそも土地が狭くもちろん資源もない。外資に頼らないといけないですので、外国に対して極めてオープンな国(地域)のシステム。同じ様に香港人も外国人に対してオープンで、「外国人に合わせるのが当たり前」という様な雰囲気さえある様に感じます。もちろん親日家が多いことも日本人には非常に助かります。そんな香港で「暮らしやすい」というのは極々当たり前なのかもしれません。
期待と不安を抱き、毎日が発見の連続の海外生活。それはだんだん日常になりつつあります。そして、それは少し危ないことで、日常になれば、僕らは「香港の常識」だけを頼りに生きることになります。「外国人に合わせるのが当たり前」、そんな特殊な「香港」。その有難さを忘れ、いつしか香港以外では生きれない自分がいるかもしれません。
たったの一年ですが、今ではすっかり仲の良い仲間ができ、居心地がよくなった香港。だからこそ敢えて「香港にこだわらない。」、僕は香港にどっぷり浸かりつつ、定期的にそう自分に言い聞かせることにしようと思います。