僕が海外に住もうと決めたきっかけの一つに、あるスペイン人との出会いがありました。ちょうど一年前の八月、思い切って2週間のお盆休みを取りベトナムへ行きました。7年ぶりにバックパックを持って出かけました。サラリーマン生活のペースに慣れ、自分自身、少し内へ向いてきていた時期だった気がします。
ハノイの一日US5ドルのバックパッカー宿、クーラーなしの4人部屋。部屋に入ると彼がいました。宿泊客は彼と2人だけでした。彼は東京大学に研究生で来ていたので、日本のことにも詳しかったです。そんなこともあり、2日程度しか一緒にいなかったのですが、非常に仲良くなりました。彼は、背も小柄で、真面目そうで、礼儀正しく、それで親近感が持てた部分もありました。
ところが、街へ出ると、「外国人料金」を突き付けてきたり、頼んでもない料理を出してくるドローカルな食堂で言葉が通じないのにガンガン交渉していく姿、旅行者に次から次へと話しかける姿は、ヨーロッパ人独特の「攻撃性」がありました。
飲みに行った時、彼が呟いていた言葉を思い出します。「日本人は世界中どこにも感覚を共有できる人間がいないよね」僕は彼に尋ねました。「南米の人たちをどう思う?」「言葉も通じるし、まあ親戚みたいなもんだね」
彼らが見ている世界はいろんな意味で、僕らが見ている世界より狭いんだろうと思いました。