2011/09/25

バイリンガル、トリリンガル・・・マルチリンガルの時代

「バイリンガル」、「トリリンガル」、「マルチリンガル」というと、日本では偉く大層な存在に聞こえがちな気もします。でも、良く考えると、日本人でも少しでも海外で生活した人は皆「バイリンガル」。
僕は大学時代に第二外国語の中国語をサボっていたので、ずっと「バイリンガル」でしたが、広東語が何とか話せる様になり、「トリリンガル」と呼べる様になりました。特に呼び方に拘る必要はないけれど、こちら香港では「バイリンガル」、「トリリンガル」は当たり前。中国語と英語が話せる人が多いのはもちろん、大学等、高等教育を受けた人なら3カ国語以上話せる人も非常に多いです。中国語(広東語+北京語)、英語、その他(日本語、韓国語、ドイツ語等々)。日本でも全て(?)の大学生が英語と一ヶ国語を勉強しているはずなのに、「トリリンガル」と自負する人はほとんどいませんね。香港人にとっては恐らく「勉強する」=「話す」、それだけ外国人と話す機会も多いし、香港人同士で外国語で話すのも全然恥ずかしがったりしない。さて、香港で中国語を使おうとすると、そこに自然と英語が混ざってきて、更に日本語を話す人も多いので、3ヶ国語ごちゃ混ぜで会話が進んだりします。日本にいる日本人が傍から見るときっと非常におもしろいと思います。もちろん、どこへ行っても「日本人(日本語)グループ」、「英語グループ」なるものができてしまうので、自分が多くの言語話せないとこういう場面に居あわせる機会は少なくなります。近頃はだいぶ、この国際都市ならではの状況に居あわせることが多くなり、海外生活の醍醐味を味わえている様な気がします。
近頃、近所のカフェに行くと、良く見かける2人がいます。完璧な英語と完璧な広東語で大きな声で話す2人。北京語も話せるみたい。ん?良く聞いてみると、スペイン語が・・・。どうもこれは、スペイン語のプライベート・レッスンをしている様です。どう見てもアジア人の2人、でも態度はなんとなくアメリカン!?いや、南米風??日本人の僕の眼には(失礼ながら)、おもしろ可笑しく映るこの光景、僕はニタニタしながら「香港って本当にすげ~」と心の中で呟いています。
お金の流れ、人の流れ、物の流れ、企業の所在地まで国際化が加速してゆく時代、ますますこんな、「おもしろ可笑しい人たちの時代」。何ヶ国語も飛び交う、「おもしろ可笑しい会話」を楽しみながら、これからの時代に備えましょう。

2011/09/19

僕が言語を学ぶ理由

香港人の友達の誕生日会に参加させてもらいました。彼女の友達で、普段は合わない人たちがたくさんいて、みなさん、半年ぶりや、9か月、10か月、1年ぶりの人ばかりでした。つまり「みなさんが前回会った僕」は「広東語がほとんど話せない僕」だったのです。今では簡単な日常会話はなんとかほぼストレス無く話せる様になったので、僕自信、久しぶりに会う香港人の人とスムーズに話せると、新たな世界を見れた気がして、本当に楽しいです。もちろん久しぶりに会った人たちも驚いていると思います。もちろんそうなると、みんなとの距離はグッと縮まります。多分「広東語がほとんど話せない僕」には決してできなかったであろうこと。もちろん、言語以外のコミュニケーション、言語を超えたコミュニケーションはあると思いますが、それは誰にでも通用するものではないし、誰にでもできるものではない場合が多いと思います。一つの言語が少しずつ上達し、できるようになること、それは「言葉が上手くなる」ことだけではなく、言語を介したコミュニケーションによるお互いの発見や、距離感・空気感が縮まることだったりします。「言語を超えたコミュニケーション」、もしそれがあるとしたら、実は、一番近道は言語を習得することなのかもしれません。

そういう楽しさがまた自分を動かし、更に前に進める。
メジャーな北京語の勉強を中断し、いつの間にか広東語を勉強し出した一番の理由かもしれません。

自動翻訳の技術も発達し、何十年後かにはひょっとしたら、脳内にチップを埋め込んだりすれば、言語無しでコミュニケーションが取れたりする未来がやってくるかもしれません。でも地道に「勉強」と「遊び」を繰り返しながらコツコツ積み重ねる作業が、今のところ有効です。

さて、そろそろ中断していた北京語の勉強を再開しようと思います。北京語を話す環境が十分でない香港では、より「コツコツ」が必要になります。「コツコツ、地道に、楽しさを重ねて」前に進もう。

2011/08/22

自分の名前に拘る

日本を離れたからこそ持っている、ちょっとくだらない拘りの話しです。
僕は「千金楽」という自分の名字を非常に気に入っています。恐らく日本でも何本かの指に入るであろう珍しい名字、少し特別な感じがして、ひねくれ者の自分にはちょうど良いのかも。両親には悪いけれど、名前の「敏允」よりも「千金楽」の方が遥かに気にっています。
香港に来て以来、僕は自分の名前を紹介するのに、「Chigira」を略して"Chigi"または"Chiggy"と言う様にしています。これを言うと、香港人、日本人、アメリカ人、イギリス人、その他何人たりとも不思議そうな顔をします。初めて聞く名前で、何のことかも分からないし、良く聞き取れないし、発音もできないし、「ハァ?」、そんな顔。けっこう"さむい"感じなります。普通なら「Toshimitsu」を略して"Toshi"と呼べば憶えてもらい易い。その方がよっぽど楽。来港以前、海外でホームステイしたり、日本で外国人と話す時は"Toshi"と呼んでいました。日本で「外人ハウス」で生活をしていた時、同居人のオーストラリア人が僕のことを"Toshi"と呼んでいたけど、ある日"Chigi"と呼びだした。日本人が皆「チギ」と呼ぶのを聞いてそう呼ぶ様になったようです。少し嬉しかった。"Toshi"より"Chigi"の方が嬉しかった。
昔、海外営業をしていた父の名刺を見ると、"Henry"と書いてあって、思わず笑ってしまいましたが、うちの父はやはり"Henry"ではない。(今は少なくなって来ていると思うけれど、特に商社系の方(?)など、ビジネスシーンで憶えてもらい易い様にENGLISH NAMEを持たれる方が結構いたらしい。)

初めはちょっと"さむい"感じの"Chigi"という呼ばれ方も、すぐに親しみを持って"Chigi"と呼んでもらえるから、ENGLISH NAMEや分かり易い名前を名乗らなくても良いと思っている。
それは自分の「ホーム」を離れ、「アウェイ」で生きて行く為にはとても有効だと思う。

僕は日本人だからENGLISH NAMEは使わない。ありふれた日本人にはなりたくないから「TOSHI」とは名乗らない。「千金楽」の名前を持って世界に出る。ちょっと言い過ぎたかも知れません。
今日はこの辺で。


(※ 香港ではENGLISH NAMEを持つのが習慣化しています。決してそれを否定しているわけではありません。)
(※ 「TOSHI」という名前の方が「ありふれた」人と言っているわけではございません。)

2011/07/31

「似たもの同士」との付き合い方

日本のマーケットとしての規模はどんどん縮小していく時代。これからの日本人は海外のマーケットを意識して動いていかないといけないと思います。日本国内にいようが、海外にいようが、国際舞台で自立して、海外の人と対等に向き合う力が必要。これは僕が海外に住むと決めた理由の一つですが、香港に住んで1年以上が経った今、このことの重要さをより強く感じています。「日本人の国際化」、日本人一人一人が海外に対して自立して、しっかりと力を発揮できること、これは本当に必要なこと。近い将来、今より何十倍も差し迫った問題になります。「日本人国際化」のお手伝い。これは自分が一生をかけて取り組んでいきたいテーマの一つです。
日本にいた時も、香港で住んでいる今も、僕が感じること。僕が不満に感じること。日本の人たちはいざとなると外へ力を向けられず、自分と近い環境の人たちばかりを好み、安心ばかりを求めている気がします。「似たもの同士」とばかり付き合う。これは完全に「余計なお世話」だけれど、「似たもの」の一員として、やっぱり不満に思う。
似たもの同士で肩を寄せ合って生きるのではなく、「似たもの同士、それぞれ外へ繰り出し、違う道を歩き、お互いの戦利品を自慢し合ったり、失敗談を語り合いながら、より良い方向へ発展させていく」。これが僕の「似たもの同士」との理想の付き合い方です。そんな「似たもの同士」が集まった日本なら、国際舞台でも怖いものはない。そう思います。
「日本人国際化」、その前にまず、「自分国際化」。さあ、戦利品を求めて、狩りに出よう(笑)

2011/07/24

「うまくなった」と思う暇があったら、もっともっと間違えろ!

僕はFACEBOOKに広東語の文章を投稿し続けています。もう1年近くになると思います。作文の練習と、間違いを友達に直してもらうためです。これは言わば、「間違えないと損」なやり方なので、「自信が無ければ無いほど、思い切って書いてみる」ということができる、ある意味究極の勉強法です。ちょうど、日本の学校のテストの反対ですね。当初は、今日はどんな間違いをしようか、楽しみにしていました。今では伝えたい内容はほとんど伝わるようになったらしく、間違いはあったとしても、なかなか直してもらえなくなりました。
最近はすこし、「間違えないうように」と言う意識が出てきた気がします。自分の中で、「うまくなった」「うまいと言われたい」という意識が働いているのかもしれません。難しいこと書こうとして間違うくらいなら、簡単なことを書こう。そしたらもっと褒めてもらえる。そう思い始めるかもしれません。ところが、そうなってくると、僕がFACEBOOKに広東語を書く意味が無くなってしまいます。

そう、僕は間違うために書いている。
話をする時も一緒、簡単なことを話して、「うまい、うまい」と褒めてもらうよりも、不安でいっぱいの憶えたての表現や、忘れかけた単語を使ってみた方が上達が早い。間違って直してもらえれば、もっと上達する。

自分に言い聞かせよう。
「うまくなった」と思う暇があったら、もっともっと間違えろ!」


FACEBOOK上で勉強してる言語の友達がいなかったり、友達に間違えを見られるのが嫌な人の為に、このサイトを紹介しておきます。
http://lang-8.com/
世界中のみんなが間違えを直してくれます。
「みんな間違えながら頑張っている」と思うと、勇気ももらえます。

「うまくなったな~」と思う暇があったら、もっともっと間違えろ!」

2011/06/18

他人と違う方向を向いてしまったら、ニヤリと笑おう

長い目で住もうと決めて渡って来た香港。
留学やワーキングホリデーのとは違うノリで来たつもり。
日本でほんの少しかじった北京語の勉強も、香港へ来るということで半ば諦めかけ、また自分の英語も極端に伸びる環境じゃないだろう、と思ってきました。とにかく仕事が忙しいのは分かっていたので、あまり私生活のことは具体的に描けていませんでした。ただ、もちろん地元の人と仲良くなることも考えていたけれど、「日本人のネットワークもしっかり広げて、リラックスした私生活を」というイメージはありました。広東語がゼロだった僕は、日本語教師のボランティアをさせてもらったり、香港人と日本人の交流会等に参加させてもらったりしながら、気が付くとあっと言う間にたくさんの友達ができました。日本人より香港人の友達の方が少し多いくらいでしょうか、それもみんな日本が大好きな人たち。今自分が楽しく暮らせているのもそんなみんなのお陰。本当に感謝しています。
ところが僕はわがままなので、その快適な生活に疑問を抱く様になりました。広東語も北京語もペラペラになりたいし、英語もネイティブレベルに少しでも近づきたい!言語だけじゃなく、国際人として多角的な視野を身に付けたい。さあ、逆算してみましょう。今の生活の日本語の割合、交流範囲から考えて、その目標はまず達成できません。「海外で日本語ばかり使うなんて・・・」、結局、留学生やワーキングホリデーの人たちのノリです。。。それが自分の性分なんでしょう。
さて、運良く、香港は自分の努力でそれが達成できる場所かもしれません。白人系のイギリス人は返還後かなり減ってしまった様ですが、中華系でネイティブレベルの英語を話す人たちはかなりいる。言語や国際性に対する興味が異常に高い香港、自分の動き方次第で北京語を話すチャンスも作れる。もちろん広東語も。
少しずつですが、僕は目標に向かって環境を変えつつあります。
周りにいる人たちを見ると、自分一人だけ違う方向を向いている気がすることが多くなってきました。
日本を離れようと決めたあの時と同じ、不意に周りの人たちと違う方向を向いてしまった自分。それは自分の魂が向いている方向。そう、あの時と同じ様に、

「他人と違う方向を向いてしまったら、ニヤリと笑おう」。

大きなチャンスが待っている。

2011/06/12

「中国の本当」の一部

先週末、連休を利用して中国、重慶へ行ってきました。実質丸2日もない、またもやタイトな滞在でした。

「重慶」

日本に住んでる方はいまいちピンと来ない、と言うより知らない人の方が多いのでは。
重慶は内陸四川にあり、北京や上海と並ぶ直轄しで、北海道とほぼ同じ大きさです。ほとんど「省」言った方が良いかもしれません。四川と言えば「四川料理」「パンダ」・・・僕は特に辛いもの好きでもなければパンダに心踊らせる人間でもない。三国志が好きなわけでもない。重慶がどんなところかほとんど知らない。それでも僕はずっとここに行きたかった。その理由はただただ一つ。内陸の大都市を見てみたかった。上海や深圳とは少し違う中国が発見できる気がした。ただそれだけです。
短期間の滞在の印象は、重慶の町は極めてきれいで、もの凄いスピードで開発されているのが見てとれます。大きな街ですがまだまだ発展途上。ちょうどヴィトンやアルマーニ等のスーパーブランドが集まるビルが建設中でした。また、例えば車道を逆走する車やバイクがないだけでも、そこそこ発展した都会だと言うことが分かります。(中国では交通マナーがめちゃくちゃなのが本当に当たり前)

さて、初日の夜、僕らはたまたま見つけたレストランで食事をしました。日本で言う、町屋を改造した様な造り。レストランの上の階にはアート作品が飾られている文化の匂いがするレストラン。運良く店員さんと仲良くなり、一緒に食事をし、ただでご飯をお酒を頂くことに。ほんの少し日本語を勉強したことのある人たちで英語も少し話せる。帰りのタクシー代まで払ってもらって、本当に恐縮。中国でも祝日ということで、次の日は同じレストランでイベント(飲み会)があるということで、熱心に誘ってもっらって、もちろん行くことに。それは何と、いわゆる「オフ会」だということ。中国のTWITTER、WEIBOだったかで知り合った人が集まるそう。行ってみると、イギリスに住んでいた人、日本に住んでいたひと、スポーツのオリンピック級の選手、地元のテレビで料理番組をする人等々、おもしろい顔ぶれが揃っていました。アルコール50度以上の中国のお酒「白酒」で盛り上がる、典型的な中国の飲み会だった様ですが、本当にオープンなみなさんと楽しい時間を過ごせました。そして2次会に連れて行ってもらい、そこでもアーティストやテレビ局勤務の方、ヨーロッパに長く住んでいた人、さまざまな顔ぶれ(いわゆる「セレブ」的な人たち)。

一部の香港人の様に日本を知りつくしてるわけではなく、そこまで知らないけれど、みんな日本には良い印象を持つ人ばかり。本当にオープン。
僕らが見た、触れた中国は極めて特殊かも知れません。かなり豊かな人たち。オープンなのは当たり前かもしれません。行ってみれば「中国のほんの一部」。でも、確実に言えるのは、そこには「反日感情」なんてものは一切なく、日本の文化・ファッション・日本人を好意的に見てくれる人たち。日本での「ニュースの中の中国」とは別世界。ほんの一部だけれど、日本での報道よりはより少し正確な「ほんの一部」かもしれません。

自分の頭で考えて、自分の足で動く。全部ではないけれど、自分なりに「見えてくる」。